「千と千尋の神隠し」

先日、「千と千尋の神隠し」の映画舞台・モデルとなったといわれている、
渋温泉「金具屋」に建築の勉強をしに(ウソダトオモイマス)行ってきました。
この建物が国の登録文化財でもある、木造四階建「斉月楼」。

昭和8年に着工し、3年後の昭和11年に完成。
昭和になるまで、地方の温泉場というのはほとんどが湯治場だったそうで、
部屋も「フスマ仕切り」が当たり前、滞在も1週間から1ヶ月近くの長期。
食事は滞在者自身での自炊がほとんどだったそうです。
先代の六代目西山平四郎が、「これから温泉場は1,2泊の『観光型』になる」と考え、
宮大工を連れて当時の観光型温泉宿の先進地であった伊豆や箱根に行きました。
1ヶ月ほどの滞在の後、当地で気に入った建築を寄せ集め、
最高級向けとして建設したのがこの「斉月楼」なのです。
そして夜には・・・

このような「幽玄な姿」となります。
(あたまの中は、あの千と千尋のメロディーがなりっぱなし・・・。)
棟梁は小布施町の三田清助氏。
合計の建設費用は当時の金額で10万円程だということです。
(現在の金額に換算すると、なんと!10億円!)
全資産をなげうって建築したそうです。
この六代目、凄すぎます・・・。
昔の人たちの、馬力、知恵、頭の中、脳細胞・・・、
きっと現代を生きる我々とはまったく「別物」だったのではないかと思います。
そして、いわゆる「五感」だけではなく、「第六感」的な感覚があったとしか思えません。
それでは外から、建物内部へ。






客室が家に見立てられ、廊下が街道に見立てられています。
この廊下も、軒が出ていて、提灯がぶら下がり、床には砂利が引かれ、
空が青く塗られています。近年、屋内に町並みを作っている,
アミューズメント施設が増えてきましたがその先駆けかもしれませんね。

床にかつて使用していた水車の歯車が埋め込まれています。




風呂内部


鎌倉風呂は、建久二年に征夷大将軍源頼朝が渋温泉を通ったという伝説にちなんで、
鎌倉時代の建築様式でつくられた浴堂だそうです。
(さらに鎌倉風呂を含め館内に八つの風呂があります。)


昭和24年に完成した167畳の大広間です。この「二重合天井」は迫力満点。
天井と壁の間の「折上げ」と呼ばれるアーチ状の細工は、宮大工の最高級技術。
この規模のものは、他の旅館はおろか、神社仏閣にも類を見ないものです。
(この大広間も国の登録文化財。)
湯婆婆 (ゆばーば)には遭遇しませんでしたが・・・、
まさに「神隠し」にあいそうな雰囲気満載でした。
久しぶりに見よ・・・、「千と千尋の神隠し」。
「コレカラツタヤニイッテキマス。」
NOBU

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